Classici giapponesi con furigana
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きぞくはしはらう
奇賊は支払う
海野 十三
Leggi 奇賊は支払う (きぞくはしはらう) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7269 caratteri · 15 schermate
その中に平静なる朝の湖面の如き者は、苅谷氏只ひとりだった。
氏は夫人失踪の第三日を迎えようが、四日目になろうが、痛痒を感じなかった。もっとも氏は、探偵猫々から夫人の隠匿場所を知らされていなかったので、その日その日に於ける夫人の安否を確かめることはできなかったけれど、氏だけの内輪話では、あの積極的な夫人からたとえ三日たりとも解放せられたことは寿命を数年間のばし得た結果となる由であった。
そして第四日目の深更、繭子夫人はふらふらになって苅谷邸の玄関先まで戻って来た。もしこのとき、夫人を送って来た自動車が走り去るに先んじて、あやしげに警笛を三十秒間断続吹鳴しなかったとしたら、苅谷氏はベットの中で目をさましはしなかったろう。とにかく氏は警笛の異様なる響に夢を破られて、金壺眼をこすりこすり玄関先まで出てみたところ、そこにふらふらになって倒れている夫人を見出したのであった。
氏は驚愕と憐愍に身をふるわせ、夫人を助け起し座敷へ連れこんだ。
それから気付け薬として、強い洋酒の壜を盃に並べて持出し、コップへブランデーとウイスキーとジンとベルモットとを注いで指先でかきまわし、長椅子の上に長く伸びて死んだようになっている繭子夫人――名探偵猫々先生の口へ持っていった。