Classici giapponesi con furigana
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おくさんのいえで
奥さんの家出
国枝 史郎
Leggi 奥さんの家出 (おくさんのいえで) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.851 caratteri · 28 schermate
そうしてお嬢さんの綺麗な手がチョイチョイ私へさわることであった。
――知ってる知ってる知ってるよ……私は事実知っていたのであった。
で、東を向かなかった。
其方にお仲間が居たのだから。
ふん、ぐるだな! 解っているよ!
だが私はこだわらなかった。
平気で体を受けつけた。そうして平気で手も取らせた。
――尽くせよ、勝手に、貴女の媚態を! それで貴女と貴女との仲間が、生活することが出来るなら。……つまりこういう腹であった。
「ええ今日でした、先刻でした、昼飯を食べると直ぐでした。奥さんが家出をしましたのはね」
云いつづけようとしたのである。だが私はベンチから立った。何うやらお嬢さんの後毛が、何うやら私の頬の辺に、もつれかかりはしないだろうか? こんなような感じがしたからである。
――接吻ばかりは見合わせよう――こう思ったからである。
――いくら何んだって体面がある。――こうも思ったからである。
――それにさ第一恥しいよ、そいつを公衆に見られてはね。――こうも思ったからである。
――それはさ酷く悪趣味だよ。――云う迄も無くこうも思った。
「ね、お嬢さん――お嬢さんでしょうね……ひとつ散歩をすることにしましょう」