Classici giapponesi con furigana
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おくさんのいえで
奥さんの家出
国枝 史郎
Leggi 奥さんの家出 (おくさんのいえで) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.851 caratteri · 28 schermate
二
若い楓、若い桜、半分咲いた山吹の叢、三分咲いた躑躅の叢、あっちにも此方にも飛び散っている。
また歩いて行く青年であった。私はノロノロと歩いて行った。
二
また鞦韆! 一対の鞦韆!
その横に辷台!
だが誰も辷っていない。
ゴーッ、××電だ! 行って了った。
で、後は静である。渡っているのは微風である。
若い桜が沢山ある。みじめなことには一束の花が、葉に包まれて咲いている。
季節の祭礼は過ぎたのに――花の盛は過ぎたのに、――古ぼけた思想を後生大事に、守っているヤクザな思想家のように、どうして何時迄も過去を夢見て――あった日の貧弱な全盛に縋がって、獅噛みついてなんかいるのだろう?
廃嫡された鳥小屋があり、その前に遊園地の番人の家が、切張だらけの時代食んだ障子を、新時代の光に――初夏の日に――骨を曝らして立っていた。
この頃から私は感付いた。
「不良青年がつけているな」と。
だが本当を云う時は、遊園地の木戸をくぐった時から、不良青年につけられていることを、ぼんやり乍らも、感付いていた。
ボヘミヤン・ネクタイ、合オーバ、(少し穢れた流行色の薄茶)それから羅紗の合帽子(少し穢れた流行色の薄茶)手には杖、足には赤靴、栄養不良らしい蒼黒い顔、唇と来たら鉛色である。