Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Leggi 妖虫 (ようちゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.290 caratteri · 239 schermate

Aozora Bunko

実はそんな心遣をしなくとも、守がさい前窓の外を見た時、もうその辺に人影さえなかった程だから、賊はとっくに逃げ去ってしまったに違いないのだけれど。

気持がほがらかになると、今まで目にもつかなかった品物が、ふと守の注意を惹いた。

「これ何んです?」

枕元の小卓の上に、美しい寄木細工の小函が置いてあった。彼は何気なく、それを手に取って訊ねた。

「秘密函さ。開けられるかね」

老探偵の口辺に、ちょっと悪戯子の様な表情が浮んだ。

例の「探偵さん」の守青年のことだから、秘密函と聞くと、つい開けて見ないでは気が済まなかった。彼はその函をあちこちと向きを変えながら、指先でひねくり廻していたが、暫くすると、パチンと幽な音がして、函の蓋がパッと開いた。と同時に、

「アッ」

という守の叫声。

何かしら、函の中から赤いものが飛び出して来て、彼の顎にぶッつかり、そこの皮膚をチクリと刺いた。それはおもちゃのビックリ函と同じ仕掛けになっていたのだ。

思わず函を放り出して、よく見ると、長く伸びたゼンマイの先に震えている赤く塗った金属製のものは、何と驚いたことには、例の悪魔の紋章「赤い蠍」