Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Leggi 妖虫 (ようちゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.290 caratteri · 239 schermate

Aozora Bunko

蛻脱の殻

「君はどこのもんだ」

再び訊ねると、若者はモグモグと口を動かして、幽に答えた。

「相川守っていうんです。……赤蠍にやられたんです」

「エッ? じゃあんたは、あの相川操一さんの、……」

「そうです。……珠子の兄です」

立並ぶ人々は、それを聞くと、ハッとして思わず目と目を見合わないではいられなかった。

相川珠子と云えば、殺人鬼「赤い蠍」の第二の犠牲者として、無残にもその死体を銀座街頭に曝された娘さんではなかったか。今日又、その兄さんが、怪犯人の紋章と云われる、赤い蠍の衣裳を着せられて、丸の内の真中に行き倒れていようとは。

「詳しいことはあとで聞きます。兎も角、あなたのお宅へ電話をかけて、この事をお知らせしましょう」

警官はひどく緊張した面持で、小使を案内に立てて、電話を借りる為に、Sビルディングの中へ駈け込んで行った。

蛻脱の殻

同じ日の午前十時頃、四谷の桜井品子の家には、又別の椿事が突発していた。

品子を初め桜井家の人達は、その朝の丸の内の怪事件をまだ耳にしていなかった。又前夜同家の庭園内で行われた相川青年と曲者との挌闘のことも、少しも気附かないでいた。

品子は、昨夜は少しばかりいやな夢に悩まされはしたけれど、一昨夜のように、窓から覗く恐ろしいものの姿を見ないで済んだことを、喜んでいた。