Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Leggi 妖虫 (ようちゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.290 caratteri · 239 schermate

Aozora Bunko

守、珠子兄妹の母は、数年以前世を去って、家族と云っては、独身を続けている父の操一氏と、兄妹の三人切りであった。三人の身の廻りの世話は長年勤めている老女中が引受けていたが、母に代って若い珠子を教え導く人がなかったので、操一氏は知合の牧師に頼んで、教養あるクリスチャンで、家庭教師の経験を積んだ殿村夫人を傭入れた。

夫人と呼ばれてはいるけれど、殿村さんは四十歳の未亡人で、十数年以前夫に別れてから、ずっと独身を通して、信仰と教育の仕事に一身を捧げている様な人であったが、この殿村夫人が、毎日午後から夜にかけて、相川家へ通勤して来るのだ。その外に三人の書生、三人の女中、これが広い邸に住む相川家の全員であった。

それらの人々は、本人の珠子を除いては、皆殺人鬼の恐ろしい予告のことを云い聞かされ、警戒を申し渡されていた。

併し、仮令聞かされずとも、本人の珠子が、このただならぬ空気を感づかない訳はなかった。彼女は老女中の口から、なんなくその秘密を嗅ぎ出した。そして、身も世もあらぬ恐怖にうちひしがれてしまった。

家に居るのも怖かった。道を歩くのも怖かった。ただ学校で級友達と机を並べて講義を聞いている間だけ、救われたように不安が消えた。