Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Leggi 妖虫 (ようちゅう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.290 caratteri · 239 schermate

Aozora Bunko

手の平がピッタリ密着して、相手が力を加える度に、油汗にヌラヌラと辷るいやらしさ。

「お父さま、あたし何だか気分が……」

そうでもすれば手を離すかと、隣の父に声をかけたが、これはまあ、どうしたことだ。操一氏は葉巻を落して、ポカンと口をあいて、いぎたなく眠りこけていたではないか。

「お父さま、お父さま」

いくら揺り動かしても、何の反応もない。だらしなく開いた唇から涎さえ流れている。お父さまのこんな寝相はあとにも先にも見たことがない。オオ、これは決してあたり前の眠りではないのだ。

「お父さま、お父さまってば」

珠子はもう泣き声になって、父に取り縋った。

「お嬢さん駄目だ駄目だ、いくら揺ぶったって、お父つぁんは起きやしない」

老探偵が、突然若々しい声になって、ならず者のような口を利いた。

珠子はハッとして、三笠氏の髯むじゃの顔を凝視した。髯の中から、厚ぼったい唇がニヤニヤ笑っている。

「なぜです。お父さまはなぜ起きないのです。あなたがどうかなすったのですか」

「お父つぁん、余り葉巻を召し上ったもんだから、こんなになっちまったのさ。ハハハ……」

偽探偵が毒々しく云い放った。