Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つまのざ

妻の座

壺井 栄

Leggi 妻の座 (つまのざ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 82.695 caratteri · 165 schermate

Aozora Bunko

ミネの方が涙をあふれさせていた。それに誘われて閑子もうるませながら、ミネの背をさすった。水がのみたいと思ったが、水道はこわれていた。肩のいきがようやくしずまってからミネはいった。

「今日は、ゆくのよさない。」

閑子はモンペのポケットから切符をとり出してゆっくりとながめ、ミネに見せながら、

「でも通用二日よ。今日やめて、明日だめにでもなったら、もったいないから――」

そこへ汽車が入ってきた。もう否応なしに決ったかたちで、ミネは見おくることになった。

「心配しないでね。大丈夫だから。お土産もってくる。」

悲しみをもつ女のようにも見えず、閑子はおちついた声でいって、せまい入口のあたりにひしめく群衆の中へとけこんでしまった。車室の中をすかし見たが、わからぬままに汽車は走り出した。

家に帰りつくともう夕方だった。部屋に入るなりミネは襟まきもとらずに、こたつに顔を伏せて泣いた。外でみた閑子があんなに世間なみな顔であったことがうれしかったのだ。しかもその平静な表情の中にかくしている閑子の悲しみが、今のさき別れてきたことでよけいはっきりと、ミネの心に素直にとけこんできて泣けてくるのだった。