Classici giapponesi con furigana
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つまのざ
妻の座
壺井 栄
Leggi 妻の座 (つまのざ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 82.695 caratteri · 165 schermate
やはり閑子をあわれんでいるからなのだろうか。
田圃を突っきると、道はこちらの丘の家々の間に分れる。ここにもまた沈丁花は夕靄のようにただよっていた。その生垣にそって歩きながら、ミネは涙をおさめた。そして帰るなり悠吉の部屋にゆき、かかとを立てて火鉢のそばに膝をついた。
「ニュース。野村さん、結婚するんだってよ。」
「ふーん。」
「こんどは恋愛だってよ。」
「へえっ。」
悠吉がほんとにしてこちらを向いたので、思わずミネは笑った。そしてふと考えたのは、あの年になればたやすく恋愛もできず、やはり他人にさがし出してもらうしかなかったことだった。イビキの問題がミネの頭の中を走った。
「女の側も、こんな風に運ぶといいんだけどね。」
ミネは野村のあのうきうきさに比べて、いんうつをすっかり性格の中へ沈めてしまった閑子に、女の立場の不利のようなものを感じないでいられなかった。ほんとにあの当時閑子が腹立てていったように、男の方は別れればその場から身軽になれるのに、女はいつまでもそれを引きずってゆかねばならぬ。着物を着かえたようなさっぱりとした気持に女がなるまでには、さまざまな苦悩の関所をゆきつ戻りつしなければならないのだ。