Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
熟々視ればどこにか俤が似通って、水晶と陶器とにしろ、目の大きい処などは、かれこれ同一であるけれども、英吉に似た、と云って嬉しがるような婦人はないから、いささかも似ない事にした。その段は大出来だったが、時に衣兜から燐寸を出して、鼻の先で吸つけて、ふっと煙を吐いたが早いか、矢のごとく飛んで来たボオイは、小火を見附けたほどの騒ぎ方で、
「煙草は不可んですな。」
「いや、これは。」主税は狼狽えて、くるりと廻って、そそくさ扉を開いて、隣の休憩室の唾壺へ突込んで、喫みさしを揉消して、太く恐縮の体で引返すと、そのボオイを手許へ呼んで、夫人は莞爾々々笑いながら低声で何か命じている。ただしその笑い方は、他人の失策を嘲けったのではなく、親類の不出来しを面白がったように見える。
「すっかり面目を失いました。僕は、この汽車の食堂は、生れてから最初だ。」
と、半ば、独言を云う。折から四五人どやどやと客が入った。それらには目もくれず、
「ほほほ、日本式ではないんだわねえ、貴下、お気には入りますまい。」
「どういたしまして、大恥辱。」
「旅馴れないのは、かえって江戸子の名誉なんですわ。」