Classici giapponesi con furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Leggi 孤島の鬼 (ことうのおに) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 181.795 caratteri · 359 schermate
止めさせようとしても、少しも私の思う通りにならないのです。
くやしくなって、引掻いてやりますと、その顔が、怖い顔になって、呶鳴ったり、泣きだしたりします。私は少しも悲しくないのに、ポロポロ涙をこぼしたりします。そのくせ、私が悲しくて泣いている時でも、汚い方の顔は、ゲラゲラ笑っていることがあります。
思う通りにならないのは、顔ばかりでなくて、二本の手と二本の足もそうです。(私には四本の手と四本の足があります)私の思う通りになるのは右の方の二本ずつの手足だけで、左の方のは、私にさからってばかりいます。
私は考えることが出来る様になってから、ずっと、何かしばりつけられている様な、思う様にならない気持ばかりしていました。それはこの汚い顔と、云う事を聞かぬ手足があったからです。だんだん言葉が分る様になってからは、私に二つ名前のあること、美しい顔の方が秀ちゃんで、汚い顔の方が吉ちゃんだということが、どうしても妙で仕方がなかったのです。
その訳が、助八さんに教えてもらって、ようよう分りました。助八さん達が片輪ではなくて、私の方が片輪だったのです。
不幸という字は、まだ知らなんだけれど、本当に不幸という心になったのは、その時からです。