Classici giapponesi con furigana
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かれい
家霊
岡本 かの子
Leggi 家霊 (かれい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9395 caratteri · 19 schermate
徳永が嘆願する様子は、アラブ族が落日に対して拝するように心もち顔を天井に向け、狛犬のように蹲り、哀訴の声を呪文のように唱えた。
くめ子は、われとしもなく帳場を立上った。妙なものに酔わされた気持でふらりふらり料理場に向った。料理人は引上げて誰もいなかった。生洲に落ちる水の滴りだけが聴える。
くめ子は、一つだけ捻ってある電燈の下を見廻すと、大鉢に蓋がしてある。蓋を取ると明日の仕込みにどじょうは生酒に漬けてある。まだ、よろりよろり液体の表面へ頭を突き上げているのもある。日頃は見るも嫌だと思ったこの小魚が今は親しみ易いものに見える。くめ子は、小麦色の腕を捲くって、一ぴき二ひきと、柄鍋の中へ移す。握った指の中で小魚はたまさか蠢めく。すると、その顫動が電波のように心に伝わって刹那に不思議な意味が仄かに囁かれる――いのちの呼応。
くめ子は柄鍋に出汁と味噌汁とを注いで、ささがし牛蒡を抓み入れる。瓦斯こんろで掻き立てた。くめ子は小魚が白い腹を浮かして熱く出来上った汁を朱塗の大椀に盛った。山椒一つまみ蓋の把手に乗せて、飯櫃と一緒に窓から差し出した。
「御飯はいくらか冷たいかも知れないわよ」