Classici giapponesi con furigana
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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.161 caratteri · 412 schermate
あて名の手跡は二人の姉のとはまるでちがっていた。しかし、二人ともにそうだが、ことにK市の姉はよく孫のだれかに手紙の上封などをかかせる事があるからと思って、戸棚の中から古手紙の束を出して来て、いくつかの姉の手紙を拾い出して比べて見た。
K市の姉からのあて名の手跡の或るものは小包のと似ているように思われた。たとえば「東」の字や、ことに「様」のつくりの格好がよく似ていた。しかしまたよく見ると「町」の字などはかなり著しくちがっていて、全く同人の手であるとは断定しにくいようなところがあった。一方でA村の姉のはほとんど自筆で、たまに代筆があっても手跡は全くちがっていてこのほうはほとんど問題にならなかった。
「まだ研究していらっしゃるの。……あなたもずいぶん変なかたねえ。いまに手紙かはがきが来ればわかるじゃありませんか。」
台所から出て来た細君は彼が一心に手跡を見比べているのを見て、じれったがって、こう言った。
「手紙のほうが小包よりさきに来そうなものだが。」
「だって、そりゃあ、……あとから来る事だってあるじゃありませんか。」
「……この『様』の字をちょっと比べて見てくれ。