Classici giapponesi con furigana
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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
Leggi 小桜姫物語 (こざくらひめものがたり) di 浅野 和三郎 (あさのわさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.097 caratteri · 267 schermate
六十、母性愛
』
そう言って指導役の老人はあたかも孫にでも対する面持で、自分の教え子を膝元へ引き寄せるのでした。
『雛子さん』と私も早速口を切りました。『あなたはお爺さんと二人切りでさびしくはないのですか?』
『ちっともさびしいことはございません。』といかにもあっさりした返答。
『まァお偉いこと……。しかし時々はお父さまやお母さまにお逢いしたいでしょう。いつかお逢いしましたか?』
『たった一度しか逢いません……。お爺さんが、あまり逢っては良けないと仰っしゃいますから……。わたしそんなに逢いたくもない……。』
何をきかれてもこの娘の答は簡単明瞭、幽界で育った小供には矢張りどこか異ったところがあるのでした。
『これなら修行も案外に楽であろう……。』
私はつくづく肚の中でそう感じたことでした。
六十、母性愛
その日はそれ位のことで別れましたが、後で又ちょいちょいこの二人の来訪を受け、とうとうそれが縁で、私は一度こちらの世界でこの娘の母親とも面会を遂げることになりました。なかなかしとやかな婦人で、しきりに娘のことばかり気にかけて居りました。その際私達の間に交された問答の中には、多少皆様の御参考になるところがあるように思われますので、序にその要点だけここに申し添へて置きましょう。