Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
やまだちもんどう
山だち問答
山本 周五郎
Leggi 山だち問答 (やまだちもんどう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.163 caratteri · 32 schermate
いかにも心をうたれたというようすだった。
「さても世の中はひろい、妙な人間がいるものだ」
峠を下った玄一郎は松尾という村で朝になるのを待ち、通りかかった村人に頼んで駕籠を雇って貰った。むろん供の分と二挺である、そしてその日の午さがりに家へ帰った。
決して他言してはならぬと、かたく口止めをしたが、おそらく下僕がもらしたのだろう、その噂がたちまち人の口にのぼり始めた、「なんということだ、武士たるものが」「ひと太刀も合せるどころか、手を突かんばかりに命乞いをしたそうだぞ」「見そこなった、そんな腰抜けとは思わなかった」「なにおれはちゃんと知っていたよ、あれはあれだけの男さ、正体を出したというだけだよ」
そしてその評判は野火のように大垣藩の隅ずみまで弘がっていった。
確たる根拠もなく「郡は人物だ」と云って彼を推し挙げた世評が、今や事実を遙に飛躍して彼を叩きのめしにかかった。それは圧倒的であり辛辣を極めた、知る者も知らぬ者も、彼が昔から臆病者で、小心で、然も人にとりいることが上手だなどと云った。いつか地震が揺ったときには竹藪へ入ったまま三日も出て来なかったとか、道で馬子に喧嘩を売られて一言もなくあやまったとか、常づね上役に袖の下を遣うので、いつかさる老職に面罵されるのを見たなどと証言する者もあった。