Classici giapponesi con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Leggi 山彦乙女 (やまびこおとめ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.360 caratteri · 251 schermate
もちろん適当に、姉の眼をぬすんで、とびだしはするが、甘利のことを思うと、なさけなくて、うんざりする程度でしかなかった。
――早く山へ帰りたい。
夢に見るほど、帰郷のおもいに駆られていたのであるが、権之丞のようすで察すると、姉のゆるしを得たのではなく、どうやらひそかに脱走する計画らしい。それが彼女をおどりあがらせた。なまぬるい、刺戟のない四十余日のあとだから、彼女にとっては、そのくらいのことでも、胸がわくわくし、手足がむず痒いような気持になった。
――大丈夫なのね。
――大丈夫でございます。
権之丞に固く念を押したうえ、ようやく駒込へゆくことを、承知したのであった。姉はもちろん知らない。そんな企みがあろうなどとは、夢にも考えはしないだろう。妹がうんと云って呉れただけで、すっかり安心しているようだ。したがって、その日になって海へとびだし、遊び呆けていたことも、さして叱りはしなかった。
「こんな日に泳いだりする人がありますか、ごらんなさい、すっかり日にやけてしまったし、潮水でこんなに肌が荒れてしまったではないの」
「もともとこうなんですわ」花世はすまして云った、「わたくし山猿の申し子なんでございますもの、お姉さまのようにお美しくはございませんの」