Classici giapponesi con furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Leggi 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.846 caratteri · 96 schermate
「ここは何処だらず。一体、俺は何処へ来ているのだずら」
「小山さんも覚えが悪い。ここは根岸の病院じゃありませんか。あなたが一度いらしったところじゃ有りませんか」
おげんは中年の看護婦と言葉をかわして見て、電気にでも打たれるような身ぶるいが全身を通り過ぎるのを覚えた。
翌朝になると、おげんは多勢の女の患者ばかりごちゃごちゃと集まって臥たり起きたりする病院の大広間に来ていた。夢であってくれればいいと思われるような、異様な感じを誘う年とった婦人や若い婦人がそこにもここにもごろごろして思い思いの世界をつくっていた。その時になって見て、おげんはあの小石川の養生園から誘い出されたことも、自分をここの玄関先まで案内して来た姪のお玉が何時の間にか姿を隠したことも、一層はっきりとその意味を読んだ。
「しまった」
とおげんは心に叫んだが、この時は最早追付かなかった。
見ず知らずの人達と一緒ではあるが患者同志が集団として暮して行くこと、旧い馴染の看護婦が二人までもまだ勤めていること、それに一度入院して全快した経験のあること――それらが一緒になって、おげんはこの病院に移った翌日から何となく別な心地を起した。