Classici giapponesi con furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate
「早いようでも、数えればもう十七年。わたくしもまるで夢のような気持がいたします。四季のお便りに、いつもお元気の体を拝察して欣ばしく存じておりましたが、いつもご健勝で何より。その節はいろいろとお世話に相成りまして有難うございました。この度はご縁あってまた当地へ罷り下りましたが、なにとぞよろしく」
藤十郎は、はいはい、と頷くきりで泣くのを止めない。
思うに、江戸からお鳥の変死の報知が届き、それで一家中が悲嘆の涙に沈んでいるのであろう。そういう折にまた娘婿のこの哀れなさまを見せ、その無残な死にざまを話さねばならぬと思うと、先生も些か辛すぎて身を切られるような心持がする。我ともなく首に掛けている骨箱を道行の袖で蔽い隠すようにしながら、
「お見受けするところ、何か非常なご不幸でもあッたようす。お支障なければ、どうかこの源内に……」
藤十郎は、片手で涙を抑えながら、
「はいはい、申上ぎょうですが、こぎゃんとこではお話も出来ませんけん、さあ、どうかあッちへ……」
福介を土間の床几に残して、見世庭から中戸を通って奥座敷へ導かれてゆく。
檐には尾垂と竹の雨樋が取付けてあり、広い庭に巴旦杏やジャボン、仏手柑などの異木が植えられ、袖垣の傍には茉莉花や薔薇花などが見事な花を咲かせている。