Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Leggi 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.621 caratteri · 195 schermate

Aozora Bunko

僕の話は、これで全部、もう、終りです。あなたが、そんなに顔色を改めて謹聴するなんて、よほどの種がなきゃ有りっこないじゃありませんか」

大矢捜査主任は、うなずいた。

「君の話で、私がビックリするワケが、あるのです。この一ヶ月ぐらい前から、署へ投書する者があるのです。倉田事件は単なる轢死や自殺ではなく、謀殺だから、犯人を探せ、という意味のものなんですね。これが筆で書いたものではなくて、新聞雑誌から文字をきりぬいて、はり合わせたものです。都合三回ぐらい、同じ投書が来たのですがね。我々も、倉田公一事件は、殺しだろうという見込みをすてゝはおりませんから、妙な投書がくるものだ、もう一度、ひっくり返して調べてみたいという気持は動いていたのです。特に三村刑事が熱心で、あの男は、事件まもなく応召して、帰還したばかりだから、尚更、忘れられないのでしょうよ。或いは、もう、それとなく手をつけはじめているかも知れません。あれぐらい、仕事に熱心な男も、珍らしい……」

大矢捜査主任は言葉をきって考えこんだ。たしかに、妙な暗合である。彼はふと思い直したように顔をあげた。

「安彦君が犯人を見ているとすれば、或いは、そうかも知れないのです。