Classici giapponesi con furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Leggi 怪しの館 短編 (あやしのやかた) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 81.915 caratteri · 165 schermate
「何んだって?」
「あんたきっと旅役者だわ」
「…………」
「とても芝居うまいものね」
男は湯の中へ沈んでしまった。
三国峠の権
「そうかい、俺を役者だというのかい」
と男は溜息をしながら云った。頬冠りの顔は俯向いて、湯の面に見入っていた。
「三国峠の権の真似上手だものね。お役者さんよ」
「どうして物真似だってこと解るんだい?」
「そりゃア眼力だわ。……あたし客商売の温泉宿の娘でしょう。ですから、悪い人かいい人か、贋物か本物かってこと一眼見ればわかるわ」
「なるほどなア、それで俺らを……」
「いい人だと睨んだのよ。だってそうでしょう、女と一緒にお風呂にはいるの恥ずかしがったり、顔見られるの恥ずかしがって、頬冠り取らなかったりするあなたですものね。恥ずかしがり屋に悪人ってものないわ」
「恥ずかしがり屋に悪人はないとも。……だが俺ら恥ずかしがり屋かなア」
「あたしの眼に狂いないわ」
「それならいいが」
「フーッ。狂いないわ」
「俺らア初めてだ」
と男はしみじみとした声で云った。
「冒頭から善人だと女に云われ、何んの疑がいもなくぶつかって来られたなア、今夜のお蘭ちゃんが初めてだ。