Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

彼女はそれっきりで、もうなにも分からなくなった。

9

紀久子は自分のベッドの上で横たわっているのに気がついた。

「お嬢さま! お嬢さま! お気づきになりまして?」

婆やが間近く顔を寄せながら言った。そして、その右手をわなわなと顫わしながら、赤酒らしい赤紫色の液体をなおも紀久子の口に勧めようとしていた。

「お嬢さま! 本当にしっかりなさいませんと……これをもう少し召し上がりませんかよ? お嬢さま!」

「あら! 婆や! わたしどうかして?」

「お嬢さまはじゃあ、なにもご存じございませんのかよう? わたしがお嬢さまにお茶を差し上げようと思いましてお茶を持ってまいりましたら、お嬢さまはそこに倒れていらしったのでございますよ」

「あら! わたしどうかしたのかしら?」

「わたしはまたびっくりいたしまして、すぐにここへ抱き上げて、それからはすぐに赤酒を持ってきて差し上げたのですがね」

「あら! それ赤酒なの? 葡萄酒じゃないの? 赤酒なら貰うわ。わたし、赤酒大好きよ」

紀久子はそう言って、蝋のように白く、微かにわなわなと顫えている手を差し伸べてその赤酒をぐっと飲み干した。