Classici giapponesi con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate
死後数日を経た腐爛死体は、何とも云えぬ悪臭を放って、触ればズルズルと皮膚がめくれて来そうで、着物を脱がせるのにひどく骨が折れた。
厚化粧の顔丈けが、人形の様に美しくて、その首のすぐ下に、灰色の腐肉が続いているのは、何とも云えぬ変てこな感じだった。
死体をソッとうつむけて、警察医と巡査と二人がかりで、艶かしい長襦袢をはいで行った。赤い錦紗縮緬がグルグルとめくれて行く下から、照子さんの灰色の背中がむごたらしく現われて来た。
「ワッ、ひどい傷だ」
誰かが、思わず叫んだ。
灰色の背中一面、蚯蚓の這い廻った様な、ドス黒い傷痕がある。だが、何という複雑な傷をつけたものであろう。イヤ、傷ではない。何だかえたいの知れぬ変てこなものだ。……イヤイヤ、やっぱり傷痕だ。でなくて、こんな恐ろしい蚯蚓ばれが出来るものか。併し、傷は傷でも、決して並々の傷ではない。
「オヤ、何だか、この傷痕は、字の恰好をしているぜ。ホラね、上のは『恐』という字だ。それから『怖』『王』。『恐怖王』だ。『恐怖王』だ」
一人の刑事が叫んだ。
如何にも、よく見ると、その傷痕は「恐怖王」と読まれた。まさか死体糜爛のあとが、偶然この様な形を現わした訳ではあるまい。