Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

Leggi 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) di 宮島 資夫 (みやじますけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.611 caratteri · 56 schermate

Aozora Bunko

友達の為めに、恨みもない人を殺して、凡てを運命に任せている青年の顔を見ると、池田は眼に涙が滲むのを覚えた。

「さ、もうこれで行くんだから、酒でも飲んで行こう」と、三人は用度から酒を取り寄せて、大きな茶碗で飲み合った。

萩野が足拵らえをしている間に、松田はまた、茶碗に二三杯つづけて飲んでいたが、

「ああ好い心持ちになった」と言った。

池田は、負け惜しみにでも、まだこう言ってくれる方がありがたいと思った。すべての責任は自分にある事だ、自分があの日宿酔のために、隣りの山へ行きさえしなければ、こんな事にはならなかったのだと思うと、自分の卑怯が斯う云う犠牲者を生んだものとしか思えなかった。

「君、何か不自由な物があったら、言ってよこしてくれ、出来る丈けのことはするから」と言って、持ち合せの小遣いを渡してやると、

「私なんか、親も兄弟もない一人もんでさ、何処でどうやって暮したって同じこった。御心配には及びませんよ」と、何も知らない松田は、幾度か感謝した。

池田は、唯だ同情ばかりで何事をもしていないように思われると、何となく後暗いような気持がした。

やがて出掛る時分になると、長屋や飯場の坑夫達が、手拭いや紙を持って送りに来た。