Classici giapponesi con furigana
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うらみなきさつじん
恨なき殺人
宮島 資夫
Leggi 恨なき殺人 (うらみなきさつじん) di 宮島 資夫 (みやじますけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.611 caratteri · 56 schermate
七
「徴兵前なら大丈夫だ」と言って、強いて慰めるものもあった。
「どうせ一人もんだから、どうでも好いや」と、松田は淋しく笑ってから、
「どうもいろいろお世話になりました」と改めて挨拶をして、先きに立って歩き出した。
「大切に行って来ねえ、殺されるような事はありゃしねえ」と大きな声で誰かが言った。
松田の後について、池田と萩野はボツボツ歩き出した。
七
四時近くなった夏の日は、沢合に山の影を長く投げていた。
三人は別々な想いに耽りながら、並んだかげを追って歩いて行った。
池田は一月ばかり前に、自分の身の上に起ったことを思うと、夢のような気持ちがした。若しあの時に自分があんな煮え切らない真似をしないで、すぐ石山と争ったら、人も殺さず、この善良な青年を苦しめることもなく済んだのだと思うと、彼の心はまた痛んだ。けれども彼はまた、自分はこの山に来てから、なすべき丈けの事はちゃんとして来た。まだその上に、人の生活にまで立ち入って、要もない事にまで干渉したり、束縛したりする鉱主が悪いのだと思った。イヤ、それに媚びる卑怯な奴等が何時でも害を醸すのだ、その先きにも悪いことが沢山あると、罪をそれになすりつけて、ホッと気を軽くしてもみた。