Classici giapponesi con furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Leggi 悪人の娘 (あくにんのむすめ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.405 caratteri · 27 schermate
「お前は泣いて居るじゃないか、そうまでいうなら、満更嘘でもあるまい。が、あまり執拗く疑っては気の毒だが、何んかこう、そんな娘が確かに来るという、証拠のようなものでも無いかネ」
「宜しゅう御座います、証拠と申す程のものでも御座いませんが、私の申すことは、決して出たら目でないという所だけをお目にかけましょう。私が立去った後、数で二三十数えたら、私の立って居た場所を御覧下さい、宜しゅう御座いますか、サア、一ツ二ツ三ツ、四ツ――五ツ――」
乞食体の男は側を離れた様子、数を読む声は段々遠くなって行きます。いい加減を見計らって、と振り返ると、二三歩を距てた橋板の上に、夜目にもほの白いものが一枚、小石の重りを載せて、ヒラヒラと川風に吹かれて居ります。
取り上げて遠い灯にすかして見ると、これは、まぎれもない紫色の百円紙幣、しかも、偽造や模造ではなく、あまり古びもつかぬ、正直正銘の百円紙幣です。
百円というと、今の世の中では大金と申すほどではありませんが、大学を出たばかりの鳴海司郎から見ると、月給に貰うとおつりを出さなければならぬ位い、乞食の懐から出て、橋板の上へ置かれるような生優しい額ではありません。