Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Leggi 悪人の娘 (あくにんのむすめ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.405 caratteri · 27 schermate
五
へ行って居てもいい、たった半年か一年……」
美しい娘の肩に手を置いて、汚らしい乞食の諄々として語る様子は、何んという奇観でしょう。二人の心持が、突き詰めた真剣なものであるらしいにもかかわらず、鳴海司郎は、映画の或情景を見て居る心持にさえなるのでした。
五
「お父様、お父様、仰しゃる事はよくわかりました。けれども、お父様はどうして南米なんかへ行らっしゃらなければならないのでしょう? ――どうしてお父様は、名乗って出て、罰せられるだけ罰せられ、なさるだけの事をなさる気におなりにならないのでしょう? お父様、そんな逃げ隠れするお心持にならずに、どうぞ、多勢のために、名乗って出るお心持になって下さい。正しい道をさえ歩いて居れば、私はお父様と一緒に、あの橋の袖に坐っても、少しも辛いとは思いません……亡くなったお母様も見て居て下さいます。こうして、肩身を狭く、逃げたり隠れたりして暮す位なら、私は本当に乞食になっても、少しも悲しいとも辛いとも思いはしません。お父様!」
降りそそぐ涙に、娘は身も浮くばかり、汚らしい父親の膝へ、胸へ、犇々と取り縋ります。
真昼の陽は、この不思議な情景をまざまざと照し出して、聞えるものと言っては、近く波の音、遠く大都のどよみ、それも妙に身にしみて、場所柄にも無い異様な静けさが胸を打ちます。