Classici giapponesi con furigana
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じょうき
情鬼
大倉 燁子
Leggi 情鬼 (じょうき) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.393 caratteri · 35 schermate
「じゃやっぱりあの人が犯人なんでございますか?」私は内心いささか得意だった。
二人は大森のBホテルの玄関で車を乗り捨てた。そして夫人は私を入口に待せたまま受付の中へ入って行った。
やや少時すると戻って来て、こんどは玄関とは反対の裏口から庭へ廻った。日はすっかり暮れてしまって四辺はもう暗かった。大きな番犬がどこからか出て来て、迂散臭そうに二人の後をついて来る。二人は植込みを抜けて広い芝生の上を歩いた。芝生は露に濡れていて、着物の裾がしめっぽくしっとりとなった。
私は夫人のうしろに従って足音を忍ばせながら、建物の一番端れの方へと近づいて行った。そこの庭に面した一つの窓にはまだブラインドが下してなかった。しかも電気がついているので室内は一目でよく見えた。長椅子、安楽椅子、壁掛まで全部同色の鼠色で、寄木細工の床の上には処々にペルシャ絨氈が敷いてある。あるものは正方形に輝き、あるものは細長くあたかも蛇の背のように冷めたく光っている。光線の加減だろうか、硝子越しに見るせいだろうか、部屋全体の感じがまるで水の中のように思われた。
次の室へ通ずる扉が半開きになっていて、どこからさし込むか、月の光が蒼白く照らしている。