Classici giapponesi con furigana
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じょうき
情鬼
大倉 燁子
Leggi 情鬼 (じょうき) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.393 caratteri · 35 schermate
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「小田切大使が自殺しましたよ」
夕刊をひろげると殆ど同時にS夫人が云った。その瞬間、私の頭の中をすうッと掠めたある影――、それは宮本夫人の妖艶な姿であった。
小田切大使の自殺に宮本夫人を引張り出すのはちょっと可笑しいが、私の頭の隅に、二十年前の記憶が今なお残っていたからであろう。
その当時は小田切大使も宮本夫人もまだ若かった。少壮外交官の彼と彼女とは到る処で話題の種をまきちらしていた。そして二人の関係は公然の秘密として余りにも有名であった。宮本夫人は器量自慢で、華美好きで、才子ぶるというのでとかく評判がよくなかった。大会社の支店長代理という夫の地位を笠にきて、横暴な振舞をすると云って、社宅の婦人達の反感を買い、何も知らない宮本氏へ夫人の不行跡を洗い立てて、密告した者さえあった。それがために宮本氏は憤死したとさえ伝えられているが、実際は任地で風土病にかかって死んだのだった。
両人の関係を承知の上で、大谷伯爵が自分の愛嬢を小田切氏に嫁った。この結婚がまた噂の種になった。必ず小田切時代が来ると伯爵が断言したとか、真実か嘘か分らないが、いずれにしてもその予言が当って、その後小田切氏はとんとん拍子に栄転した。