Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せんそうざっき

戦争雑記

徳永 直

Leggi 戦争雑記 (せんそうざっき) di 徳永 直 (とくながすなお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.149 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

父は却々帰って来なかった。ぼつぼつ凱旋して、帰って来る人もあったが、叔父も父もまだ帰って来なかった。

私はこの頃、一人の恋人が出来た。

男の子供の群から離れた私は、姉と一緒に、女の子供と遊ぶようになった。

その女の子は、名を恵美と云った。私の家の道一つ向うの高い石垣の上に、土蔵付の大きな瓦屋根の家で、村でも旧家の金満家で、恵美は一人娘の末っ娘であった。駄々ッ児で、それでいて老成た勝気なところがあった。年は一つ上の八つだったと覚えている。

七つぐらいで、まさか性欲なんかありそうもないが、私はかなりハッキリした、恋心を意識していた。恵美ももちろんそうらしかった。二人は、いつとなしに、男の子の群からも、女の子の群からも、かくれて遊ぶようになった。

それが一度、男の子供の群に見付かったことがあった。二人は、恵美のうちの糠小屋で遊んでいた。発見した男の子の群は、何時の間にか、小屋の周囲を取巻いてしまった。

「ワァ、ワァ、ワァッ……」

と腕白小僧連は盛んに囃したてた。

私は、当惑して小さくなっていた。すると恵美は、ついと、抱いていたお人形を抛り出すと、戸の所に出ていった。