Classici giapponesi con furigana
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せんそうざっき
戦争雑記
徳永 直
Leggi 戦争雑記 (せんそうざっき) di 徳永 直 (とくながすなお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.149 caratteri · 25 schermate
「勲八等、功八級」の父に、一時金百五十円の金が、おかみから下った。凱旋早々から日傭稼にもあまり出られないでいた父は、その金を資本にして荷馬車挽を始めることにした。職業を知らない父は、戦争に行って覚えた馬挽きが此の商売を始めさしたのであった。
栗毛の、片眼で老いた牝の馬が、ある晩遅く、若い頃博労をやったことのある祖父と、父と二人して、挽っぱられてきた。そして長屋の背後に、小さい掘立小屋が作られて、馬は其処に入れられた。
戦争後、一年も経過しないうちに、素晴らしい不景気がやってきた。荷馬車業を始めはしたものの、父は毎日遊んでいる日が多かった。
「荷馬車なんて、止めた方がよっぽど好え。遊んでばかりいて、馬と二人して、喰いこんじゃ堪らん……」
母は、いつもこう云って、凱旋してからこのかた、まえより却って、頭脳がボンヤリしたような父に詰りかけた。
「直、今日は荷は動きませんかて、聞いて来い」
そんなたんびに、むっつり黙り屋の父は、私を呼んで、いつもの旦那先である益城屋に「荷がないか」と聞きにやった。
村端れの、町との境にある「益城屋」は、白い壁の米倉が、幾十とならんでいた。