Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate
と、それを考える将兵は、動かぬ前方の本部をながめて、もどかしく思った。
「このまま遮る敵へぶつかって行き、大高へ荷駄隊を押し通してしまえばよいに、時移している間に、鷲津、丸根の敵方は、いよいよ備え立てして、必死に喰止めるにちがいないが」
誰の憂いもそこにあった。
兵力から見ても、地形から見ても、いずれは無謀な血路を通って、しかも、迅速の機をつかまない以上――到底、千余駄に積んだ脚の重い小荷駄軍を、大高の城門へ無事に入れることは、知れ過ぎているほど、至難な業であった。
出るのか。
退くのか。
このまま、夜を明かすのか。
司令部の意志がはっきり分らないうちは、止まっていても、将兵たちの心は少しも休んではいなかった。
むしろ徒らな武者ぶるいに、
「ちぇッ」
と、地だんだを踏む兵もあり、星にいななく悍馬もある。
が、その焦躁は、そう長い時間ではなかった。前方の伝令は、密やかにまた、電瞬の迅さで、合図を伝えて来た。
すすめ。真一文字に!
と、いう令である。
部隊部隊で、采を振る風が鳴った。真っ黒な長い人馬が、奔流のように動きだした。しかし、目ざす地点は、大高の城ではなかった。