Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate

Aozora Bunko

今朝、沓掛の城を出て発向する折、義元は、どうしたのか駒の背から振り落されて落馬した。その時、打った患部と思うが、その程度を訊ねるのも、何か主君に恥かしい思いを新たにさせる気がするからであった。

どよめきが聞えた。

突然、山裾からここの幕の外へかけて、騒がしい人馬の気はいが感じられた。義元はすぐ旗本の一人へ、

「何か」

と、いった。

見て参れ――という命も待たず直ぐ二、三名は、幕へ風を残して外へ身を翻した。こんどは雷鳴の音ではない。騒然たる馬蹄や兵の跫音は、もうこの山の上のものだった。

それは約二百ほどの騎兵隊なのであった。今し方、先陣の鳴海附近で討ち取った夥しい敵の首級を護って、

(戦況はかくの如し)

と、本陣の義元へ見参に入れ、幸先よき味方の勝利を祝ごうとて、これへ齎して来たものだった。

「何、鳴海へ襲せた敵の首級が届いたとか、わざわざ首を授けに来おった笑止な織田侍の死顔。どれ、並べてみい、視てくれよう」

義元は、機嫌であった。

「床几を直せ」

と、座形を改め、扇子を顔にかざしながら、次々に差し出す首を検分した。

首帳を誌けている者は、七十余首と数えあげた。