Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.406 caratteri · 381 schermate
幕を払う。
義元はそこにいた。
今しも、義元は、身を潜めていたそこの少し先から、家臣の者が、駒を曳いて来たことを性急に告げ立てたので、幕の外へ、身を移そうとした折だった。
その背を目がけて、
「駿河殿と見うけたり。織田家の懸人桑原甚内、御首をいただきに推参。お覚悟あれッ」
声と共に、槍の柄が、
かんッ――と、響いた。
義元の一閃。
松倉郷の太刀が、振り向きざまに、中断したのである。
「しまッた」
と、跳び退く甚内の手には、槍の柄の手元、四尺ばかりしか残っていなかった。
槍の折れを、投げすてて、
「御卑怯ッ。名乗る敵へ、背を見せ給うかッ」
甚内は、喚いて、腰の剛刀を払い、ふたたび義元の背へ、躍りかかろうとしたせつな、
「やッ、殿へ」
と、甚内の背後から、今川方の平山十之丞が組みつく。
でんと、雨溜りの地へ、十之丞が投げつけられた時、
「おのれッ」
と、同僚の島田左京が、甚内の横から斬りつけた。
身を反らしたが、十之丞に足首をつかまれていたため、かわしきれずに、桑原甚内は、左京の刀下に、真二つになって仆れた。
「殿ッ、殿ッ。――一刻もはやくこの場をお落ちなされませッ。