Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 186.659 caratteri · 372 schermate
数正は、報告を聞いて、
「一益の甥、滝川長兵衛とあれば、またの名を、一鬼ともよび、豪勇無双な男だ。すぐ御本陣へ送れ」
と、将士をつけて、家康の本営へ差したてた。
家康は、縄付を見て、
「城外へ聯絡の使いに出るほどな男は、城中から選ばれた豪胆者ときまっておる」
と、睨めすえた。
石川数正の部下は、
「しかし、こやつは、武士らしからぬ卑劣者でございまする」
と、捕縛したとき、長兵衛が、身に持っている金子十枚をやるから逃がしてくれ――といったことを、みずからの潔白も誇るべく、家康へはなした。
家康は、かれらが、潔白を自慢するほどには、何も金銭を汚らわしいなどとは思っていないらしく、厚い猫背をすこし反らして、にやにや笑った。
「それみい。その通りな不敵者じゃ。――縄を解いて、望みどおり、放してやれい」
「えっ? ……」
と、数正の部下は、耳を疑った。家康は、かれらが、ためらっているので、
「東口まで引ッ立て、城門の方へ、放してつかわせ」
この処置は、数正の部下ばかりでなく、かれの帷幕にも、不満の声があった。
(殿には、せっかく捕えた長兵衛を、しかも豪勇な者と、御存知ありながら、何で生かして城へお帰しなさいましたか)