Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
「すぐお旅立ちの御用意を」
と、促されると、愕然、顔いろを失った。――秘されてはいたものの薄々の事情は察していたからである。
「では、安土へ?」
と、傅役の井口兵助と大野九郎左衛門が、絶望的な顔を見あわせて嘆息するのを、半右衛門は、
「御心配には及ばぬ。たとえ安土へおつれ申そうと、主人重治様の義心を固くお信じあって、何事もおまかせあるがよろしゅうござる」
と、しきりに慰めていた。
何も知らぬ松寿丸は、小坊主の幸徳や大勢の少年たちと、鼓を打ったり舞ったり、々として遊びくるっていた。
松寿丸は、ことし十三歳。松千代とも、於松どのとも呼ばれている。
のちの黒田長政は、この少年だった。――他家の質子とはなっても、父孝高の剛毅と、戦国の骨太な育成に生い立って、すこしもいじけた子となってはいなかった。
「兵助、何だ。半右衛門が、何をいったのか」
鼓をおいて、於松は、井口兵助のそばへ駈けて来た。もうひとりの傅役、大野九郎左衛門と彼とが、顔見合わせたまま、何か、嘆息しているのを見て、子ども心にも、
(何か起ったか?)
と、心配を抱いてのことらしかった。
「いや、さして、ご心配なことではありません」