Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
何せい、生れながらの素質はあっても、その未完成なうちにこの時運に会ってしまったのである。
ここ数日、彼のいる本丸は、広い評定の間とそのほかの袖部屋まで、すべての襖をとり外し、さながら連日連夜の大地震でも避難しているように、一門一族、家老その他、みな起居を共にし、雑居しているのだった。
もちろん、庭さきにも、幕を張り、楯をならべ、兵は高張を掲げて、夜も寝ずに警備している。
そして、刻々の状況は、大手から中門を通り、直接庭づたいに、ここに報じられ、勝頼は、縁越しに早打の報せまで、自身聞いていた。
去年、普請したばかりの、木の香の新しさも、金銀のちりばめも、調度の美も、何もかも、今はすべてが、邪魔物、足手まといの物としか、誰の目にも映らなかった。
「お館さまには、いずこにお在せられましょうか」
かいがいしく、裳をくくしあげた女房が、侍女ひとりをつれて、御台所のお使いと称し、その混雑な庭面から、ほの暗い広間の中の人群れを見わたしていた。
それほどそこには、老若の武将がいっぱいにいて、何やら騒然と、思い思いな声をもらしていた。
彼女は御台所付きの女房で茅村の局という。