Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

「そうだ。むずかしい、がまた、やさしいともいえる。心さえ澄明にしておればよいのだ、妄想なく。――それゆえに、他の士卒には、命じておかれぬ。しばしだが、そちに代らせておくわけじゃ」

「わかりました」

「居眠るなよ。肌をさす寒風の中だが、馴れると、ふしぎに眠うなる」

「大丈夫でございます」

「そしてもし……ひとたび城方の方に、チラとでも、火の気を認めたら、すぐ諸将に諮れ。また、明らかに、城中の兵が、どこか一方から、城外へ出て来るなと見たら――それ、そこにある狼烟筒にすぐ火縄を投げこんで、それから殿さまのところへ駈けてゆけ」

「畏まりました」

松千代は、眼のまえの大地に埋けてあるのろし筒へ、そっと眼を落しながらうなずいた。

戦陣なので、当然ではあるが、彼の父は、彼に対して、いちどでも、辛いかとか、痛いかとか、慰めらしいことばをかけたためしがない。――けれど、事にふれ、折にふれ、こうして絶えず兵学の常識を教えて下さるのだとは、松千代にもよく分っていた。そして厳かな中にも、人知れぬ温かみを感じ得ている自分を、またなき仕合せ者と思っていた。

官兵衛は杖をついて、そこから仮屋の方へ歩み出していた。