Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.320 caratteri · 398 schermate
「やッ? ……何者か」
次の愕きは、刹那のそれとは違っていた。敵方の大将らしい者には相違ないが、ひとりの従者に幼児を担わせ、それ以外に、郎党もつれていないし、敵対して来る容子も見えない。――こちらから歩みよって行くのを、凝然、待つもののように佇んでいるだけだった。
「その方たちは、ここでしばらく待っておれ」
官兵衛のことばである。すべては主人の意中にあるものと察して、
「お気をつけて」
のみ答えながら、先へ歩いてゆく主人の影を見まもっていた。
官兵衛が近づいて行くと、蘆の中に佇んでいた敵も、すこし前へ歩み出して来た。そして相見るやいかにも昵懇そうに挨拶を交わしていた。十年の知己でもあるかのように。
かかる場所で、かかる敵味方のあいだで、こういう密会をしているのを認められたら、直ちに、敵へ気脈を通じるものと疑われよう。――が、二人はほとんど無関心であるものの如く、四方山の話など交わして、その末に、
「書面をもって、厚顔しくも、お願い申しあげたわが子とは、それに背負わせて来た幼児でござる。この戦陣の中、明日にも城とともに相果てる身をもちながら、なお煩悩な親心とおわらい下さるまい。