Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate
ああと、思わず出る嘆息のなかには、その困難に逢着している苦しさが多分にあった。君臣という絶対なものを措いて、彼をして正直にいわせるならば、
(あんな気心の知れない人が世の中にあるだろうか。いったい、どうしたらあの人の気にかなうのか。実に難しい。無類に気難しい人だ)
と、信長を評したいにちがいない。いや、もっともっと深刻に信長の心理を剔抉し、皮肉な解剖を加えていうかもしれない。人間の心理を察し、人生を批判することなどにかけて、普通人以上な眼と判断力をそなえている光秀のことなのである。強いてその眼を掩い、その思考をみずから晦くすることはできない。
ただひとつ、その人が、主君であることによってのみ、彼は、自己の批判を慎み怖れていることができた。
「妻木、妻木」――光秀は呼んで、にわかに左右の襖をながめた。
「伝五でもよい。伝五はいないか」
けれどやがて、襖をあけて手をつかえた者は、藤田伝五でもなし、妻木主計でもなかった。側臣のひとり四方田政孝なのである。
「両名とも、無駄になった御饗応の物のあと始末やら、お引き払いの俄か支度に忙殺され、ほとんど席にすがたを見る間もありません。