Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate
――が、すでに光秀主従は、そこを立ち出てしまったあとで、見送りに出た数名の側臣たちが、朝の顔をそろえて、
「梅雨もここらで霽がりであろう」
と、大廂からすぐ仰げる四明ヶ嶽の白雲を仰ぎ合っているところであった。
城外の松原はまだ明けきれぬ朝霧に湖の底でも行くようであった。
人をのせた二頭の馬が、その中を軽い脚さばきで駈けぬけてゆく。鵜か、烏か、二騎をかすめて大きく翼を搏った。
「源右。日和はたしかだの」
「このぶんならば、山もかならず晴れておりましょう」
「久しぶり気も清々しい」
「御気分をお麗しゅうするだけでも、きょうの山詣では、無意味ではございません」
「なによりは、横川の和尚に会うてつかわしたい。それだけだ、光秀の用向きは」
「こちらからわざわざ山上へお越しあっては、さぞかし恐懼いたしましょう」
「坂本城へ招いては、やはり人目がうるさい。山上人なき所で、極く密かに、会うのが望みじゃ。源右衛門、そちがよいように計らえよ」
「人目は山よりも麓にありましょう。惟任日向守様がお登りになったなどと、里人のうわさにかかっては面白くありません。日吉あたりまでは、ひたすらそのお頭巾を眉深にしておいで遊ばしませ」