Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
宮守の老人は笑いだした。
「わたしはそんなことをいっているんではないのです、お山開きは毎年六月で、そのまえにはよくお山が荒れるのです、朝のうちお天井まで晴れていても一刻すると大風が吹きだす、ひと晩のうちに五合目あたりまで雪のつもるようなことが、五月ちゅうにはよくあるのです、まったくのところお山開きまえの陽気の変りめは誰にも見当のつかぬことがあるのですからね、あなた方がもしお山になれていらっしゃるか、剛力でもおつれにならぬかぎりは危のうございますよ、わたしはこう申上げたかったわけです」
「ああ、それはどうも、どうも、それは御親切にありがとう、たしかにそのとおりでしょう、わたしもそれは聞いているのだが……」
「ほかの山とは違いますでな」老人は箒をつかいはじめながら云った、「このお山ばかりは血気にまかせて登るととりかえしのつかぬことになります、どうしてもお登りなら剛力を雇っておいでなされ、老人の云うことは肯いて損のゆかぬものです」
「まったく、いやたしかにそのとおりでしょう」
かれはまたちらとつれのほうへ眼をやった。それから老人を見た。もうひと言すすめて貰いたいらしい。