Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
その内容が事実においてどれほどのものかは知らない。しかし少なくとも現在おのれの為なさんとする事がおのれに満足を与えない、いや却ってそれが正しからざる事ではないかという疑いを起こしてさえいる。それだけでも、伝統のなかに生きる人間としては大きな飛躍である。あとは苦しむだけだ。その苦しみが大きいほど、かれのなかに生れる新しい命は大きい意味をもつだろう。苦悩や困難ほど人間を鍛えあげるものはないのだから。
「いつかまた、お眼にかかれるでしょうか」
新島がそう云った。
「まるで予想がつかない」秀之進は松の根本へ置いた合羽と両掛とを取りあげた、そして道の向うから急いで来る五人づれの武士をさし示して云った、「現にあの人々とも果し合をしなければならないかも知れないのだから、……ではこれで」
秀之進が道へ出たとき、五人づれの武士はもう二十間ほどさきへ通り過ぎていた。――これでは追う者と追われる者が逆ではないか。そう思って苦笑するほど、かれの心には余裕ができていた。余裕というより意力の堆積というほうが当っているかも知れない。新島八十吉に頭を垂れさせた、一挙手の労もなく、生きかたの差で勝った、これは若い秀之進にとって確信を強める大きな収穫だった。