Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
柿崎兄妹
一
秀之進はすぐ眼前に聞いた問答によって、水戸家内諍の根づよさをまざまざと見た。かれが水戸へゆく要務もその事に係わっている、係わっているというよりもその渦中にはいるのだ。
――よほど慎重にしなければ。
そう思うと同時に、父との対面がこのようにあっけなく、なんの痕跡をも心に残すことなく済んだのが却って仕合せのように感じられた。
秀之進が玄関へ出たときにはもう宗兵衛も魁介と名乗る客もその伴れの姿もみえなかった。かれは若い家士に見送られて校川家を辞去した。
柿崎兄妹
一
藤尾の箸は精進物の鉢にしかいかなかった。それも小鳥が啄むほどのことで、すぐ箸を措いてしまった。
「やっぱりすすみませんか」大助は気遣わしそうに、むしろ痛ましそうな眼で見やりながらいった、「今はなにより哀傷を忘れることが大切で、とにかく貴女自身の健康をとりもどすことが先決問題だと思うけれど……それはなかなかそう容易なことではないでしょうがね」
「御心配ばかりおかけして」
「そんなことよりも、どうです、その鶏を少しおつまみなさいませんか、精進は心のもので、かたちにとらわれるばかりでも供養にはならないものです、ちょっと美味しいですよ」