Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Leggi 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.562 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

「これは御一同、ようこそ。大みそかをよそにして雪見酒も一興かと存じ、ごぶさたのお詫びも兼ね、今夕お招き致しましたところ、さっそくおいで下さって、うれしく思います。どうか、ごゆるり。」と言って、まずしいながら酒肴を供した。

客の中には盃を手にして、わなわな震える者が出て来た。いかがなされた、と聞かれて、その者は涙を拭き、

「いや、おかまい下さるな。それがしは、貧のため、久しく酒に遠ざかり、お恥ずかしいが酒の飲み方を忘れ申した。」と言って、淋しそうに笑った。

「御同様、」と半襦絆に馬乗袴は膝をすすめ、「それがしも、ただいま、二、三杯つづけさまに飲み、まことに変な気持で、このさきどうすればよいのか、酒の酔い方を忘れてしまいました。」

みな似たような思いと見えて、一座しんみりして、遠慮しながら互いに小声で盃のやりとりをしていたが、そのうちに皆、酒の酔い方を思い出して来たと見えて、笑声も起り、次第に座敷が陽気になって来た頃、主人の原田はれいの小判十両の紙包を取出し、

「きょうは御一同に御披露したい珍物がございます。あなたがたは、御懐中の御都合のわるい時には、いさぎよくお酒を遠ざけ、つつましくお暮しなさるから、大みそかでお困りにはなっても、この原田ほどはお苦しみなさるまいが、わしはどうも、金に困るとなおさら酒を飲みたいたち