Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.829 caratteri · 25 schermate
伊緒はすぐにもどって来た、そして父がかたみに遺していって呉れた尺牘をひろげて、これを読んでごらんなさいと郁之助の手へわたした。かれはしばらくそれを黙読していたが、やがて低いこえで、「おおぞらをてりゆく月しきよければ雲かくすともひかりけなくに……」とくりかえし唱した。
「それは亡くなった父が遺して呉れたものです、わたくしの心得のために撰んで呉れたものですけれど、いまの和地家にも当てはまると思います、その古歌のこころを忘れずに、強くりっぱに生きてまいりましょう」
「あね上」郁之助は双眸を火のように輝かせながら云った、「郁之助は強くなります、からだも、心も、きっと強くなります、石にかじりついても……」
伊緒は義弟のはげしい眼をみつめ、無言の誓を交わすように幾たびもうなずいた。
ぎりぎりまで追いつめられたところから、かえって伊緒はしっかりとたちなおった、美しくすぐれたみめかたちに似つかわしいたおやかな従順さのなかから、今や「どこまでも生きぬいてゆこう」とする烈しいちからが生れたのである。ひっそりと音をひそめていた和地の家が、久方ぶりで、からりと戸障子を明け放つかのようにみえた、伊緒がふたたびまめまめとはたらきだしたのである、手つだいの老農夫を相手に麦をとりいれ、苗代をかいた。