Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.091 caratteri · 30 schermate
三
「いやそれは恐らく困難なことでしょう」
検校はしずかに頭を振った、
「人を教えるにはもっと平易がよろしいのです、お石どのの琴は格調が高すぎるとでも申しましょうか、ひと口に云うとなかなかな耳ではついてゆけないのです」そしてこういう特殊な感覚をもっている者は、よほど注意しないとゆくすえが不幸になりやすいというようなことを云った。
そのとき父の顔にあらわれた憂愁の色は忘れがたいものだった。理由はわからないが、検校の言葉が父の心にある危惧のおもいを裏づけたというように、……父は眉をひそめ眼をつむって、いっときじっとものおもいに沈んだ。なにがそのように父の心を哀しませたか、平之丞にはまるで想像もつかなかった、そしてそれを知るためには更にさらにながい年月が必要だったのである。
三
平之丞が二十三歳になった春のこと、松井六弥の催しで観桜の宴がひらかれ、ごく親しい者ばかり五人ほど集まった。松井は曲輪内にある屋敷のほか大平川の畔に控え家を持っていた。招かれたのはその控え家のほうで、川の汀まで続く広い庭に若木の桜が三四十本あまりあり、まだ四分咲きぐらいだったが、満枝に綻びかかった花の色は、盛りよりもあざやかに美しかった。