Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.923 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

八月三日

愛すということは何という恐ろしく容易なことか! 私共の家をさがしに着手。Aは五百円を渡辺氏にたのむ。胸から下にシーツをまとった彼は、唇や眉の辺に淋しい陰を漂わせながら、然も平安に深く息をして眠って居る。自分は地にしみ入るような心持で、彼の寝顔を見入った。彼は眠って居る――私は起きて居る――彼は眠ろうとは思わず眠ることは希望して居ないのだ、倶に起きて苦を分けようとするのだ。が、眠るのだ。

母は愛そうとし、愛して居ながら私の真の生活に迫ると分らずに自分と人とを苦しめる。不思議なもの不思議な孤独。

八月三日 火

神よ、私が謹んで心から掛ける此等の問いに、どうぞ御心があるならば御答え下さい。

彼は私を愛して居るのだと申します。私は彼を切に、切に愛して居るのだと思って居ります。其だのに、どうして私の心には、絶えず斯うして不満があるのでございましょう。

私が苦しむこと、私が彼との生活に感じる苦痛を彼はちっとも理解することが出来ないのでございますまいか。彼は、自分は貴方を愛して居る、だから何でも堪える、最後まで耐えればいつか分る時が来るだろう。と云って私の心の中を努めても知ろうとは致しません。