Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Leggi 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.787 caratteri · 177 schermate

Aozora Bunko

十七

」

「奴隷はわれに従った。」

反絵は奴隷の置き忘れた弓と矢を拾うと、破れた蜘蛛の巣を潜って森の中へ馳け込んだ。しかし、彼の片眼に映ったものは、霧の中に包まれた老杉と踏み蹂られた羊歯の一条の路とであった。彼はその路を辿りながら森の奥深く進んでいった。しかし、彼の片眼に映ったものは、茂みの隙間から射し込んだ朝日の縞を切って飛び立つ雉子と、霧の底でうごめく野牛の朧ろに黒い背であった。そうして、露はただ反絵の堅い角髪を打った。が、路は一本の太い榧の木の前で止っていた。彼は立ち停って森の中を見廻した。頭の上から露の滴りが一層激しく落ちて来た。反絵はふと上を仰ぐと、榧の梢の股の間に、奴隷の蜥蜴の刺青が青い瘤のように見えていた。反絵は蜥蜴を狙って矢を引いた。すると、奴隷の身体は円くなって枝にあたりながら、熟した果実のように落ちて来た。反絵は、舌を出して俯伏せに倒れている奴隷の方へ近よった。その時、奴隷の頭髪からはずれかかった一連の勾玉が、へし折れた羊歯の青い葉の上で、露に濡れて光っているのが眼についた。彼はそれをはずして自分の首へかけ垂らした。

十七

霧はだんだんと薄らいで来た。