Classici giapponesi con furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Leggi 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.787 caratteri · 177 schermate
十六
十六
反絵は鹿狩りの疲労と酒とのために、計画していた卑弥呼の傍へ行くべき時を寝過した。そうして、彼が眼醒めたときは、耶馬台の宮は、朝日を含んだ金色の霧の底に沈んでいた。彼は松明の炭を踏みながら、霧を浮かべた園の中で、堤のように積み上げられた鹿の死骸の中を通っていった。彼の眠りの足らぬ足は、鹿の堤から流れ出ている血の上で辷った。遠くの麻の葉叢の上を、野牛の群れが黒い背だけを見せて森の方へ動いていった。するとその最後の牛の背が、遽に歩を早めて馳け出したとき、刺青のために青まった一人の奴隷の半身が、赤く血に染った一人の身体を背負って、だんだんと麻の葉叢の上に高まって来た。そうして、反絵が園を斜めに横切って、卑弥呼の石窖を眺めて立った時、奴隷の蜥蜴は一層曲りながら、石窖へ通る岩の上を歩いていった。奴隷を睥んだ反絵の片眼は強く反りを打った鼻柱の横で輝いた。
「ああ、訶和郎よ。」と石窖の中から卑弥呼の声が聞えて来た。
奴隷は背負った赤い死体の胸を石窖の格子に立てかけて、倒れぬように死体の背を押しつけた。格子の隙から卑弥呼の白い両手が延び出ると、垂れた訶和郎の首を立て直していった。