Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.172 caratteri · 36 schermate
と、父に耳打ちをする者もあるので、母が気にしだした。縁談なども、選りにもよって近所の鉄成金の家で、家じゅうで芸妓遊びをするといった派手な家からの所望を、昔を知っているから大事にするだろうとか――厳しく躾けたのは、そんなところへやる為ではなかったであろうに、若き娘は、暮しむきの賑わしさに眩惑されて、生来の気質をあらためるかとでも思ったあやまりであったでもあろう、もとから知りあっていた両家は頻繁に往来し、道楽で勘当されていたという次男に分家支店をもたせ、あたしを貰うことにきめてしまった。
――いやだ、いやだ、いやだ。
訴えるすべもないので、あたしは枕もとの行燈を、ひと晩中に真っ黒におなじ字で書きつぶしてしまった。父に見られたら、どうにかなるという思いで一ぱいだったが、なんのこと、翌日は真っ白に張りかえられてある。どうしてよいか分からぬ憂欝に、病いついた。長く寝てしまったが、漸く床の上に起きあがれる日、びっくらしたのは、立派な結納の品々が、運びこまれ、紋付きの人たちが、病気全快のあいさつと一緒に、祝着申しますとあたしに悦びを述べた。
だが、決心はついた。